
昨年の秋、現代アーティスト飯川雄大の作品”Decorator club”に触れる機会があった。深江橋に近いGallery Nomart。白い壁にあいた小さな穴から飛び出たロープをしっかり握って何分間も曳いた。文字通りたっぷり作品に触れた。そして年末にふと翌年のプロフィールフォトを考えていて、このときに撮影してもらった写真を使ってみたらおもしろいんじゃないかと思いついた。
私たち教員は日頃学生の可能性を信じてその能力をなんとか引き出し、卒業作品や就職作品など学生の未来へ繋げようとしている。いや学生自身が未来を手繰り寄せ、自身の運命を懸命に編んでいる。ぴんと引いたロープと、それを懸命に手繰り寄せている人で構成されるこの写真を見てそんなイメージが一気に湧いてきた。
Drawing the Threads – Weaving the Future into Fortune
「Drawing」という言葉には、「手繰り寄せる」と「描く」という2つの意味がある。学生と共に未来を描き、それを現実に引き寄せていく。そのヴィジョンをこのプロフィールフォトに託したい。
それに緑色の紐は蛇のようで、今年の干支にもあってるしね。ヘビの幸運にもゼヒあやかりたい。
もともと飯川くんの作品自体にはそこまでの意味はないだろう。特定の場所Aで紐を引っ張ると、まったく別の場所Bにある滑車が回り、荷物が上下するという仕組み。人の認知の外側で起きる、ダイナミックな影響の連鎖を事後的に気づくというキネティック。ただ、アートというものは、時に多様な発想を、人に喚起する。

(前回のプロフィールフォトは、グランフロントで撮った “Mercedes me” でした。#グッドスマイル初音ミク #AMG)